からだもこころも
あなたが食べたものから作られます
こんにちは、藤田純子です。
私が管理栄養士として初めて勤務したのは精神科の病院でした。その後は保健所、大学、リハビリ専門病院と経験を積ませていただきました。
食事の指導と改善が私の主な仕事ですが、食事をほんの少し見直すだけで人々が健康になっていく姿を幾度となく見てきました。
あたりまえのことですが食べたものがあなたのからだを作ります。そして、こころに直結する脳の働きと密接に関係していることも事実です。
食はからだを作るだけではなく、こころ、すなわち脳をつなぐ第二の心臓であり、食を通じて1人でも多くの方が正しい食事と健康を手に入れることを願っています。
フリーの管理栄養士として活動するようになり、2014年4月から一年間毎日新聞にて「こころに効くレシピ」の連載を担当しました。記事を書くにあたりインタビューにご協力いただきましたみなさまから、また現在、栄養指導をしているクリニックにおいて食事内容の聞き取り調査をした結果、「たんぱく質」が不足している方があまりにも多くいることに驚きました。
では、たんぱく質が不足するとどうなるのか?そして、なぜたんぱく質が必要なのか?実は、現代人に多く見られるこころの疲れ=脳の栄養不足に大きく関係しているのです。
「たんぱく質」を含む食品なら何でも良いというわけではありません。たんぱく質は大きく分けて、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の2種類に分けられます。その中でも動物性たんぱく質食品には、肉・魚・卵・乳製品があり、植物性たんぱく質食品には大豆製品があります。その中でも私が注目しているのが牛肉です。
たんぱく質を構成するアミノ酸は20種類あり、私たちが作り出せない9種類のアミノ酸を必須アミノ酸と言います。
近年の研究によって、日本人は神経質な傾向の強い遺伝子を持っている割合が世界一高い国民ということが明らかになりました。
「ストレス」や「不安感」を抑えてくれるのが、幸せホルモンと言われる脳内伝達物質のセロトニン。そして、このセロトニンの材料になるのが必須アミノ酸のひとつトリプトファン(参照『トリプトファンダイエット』宮川ジュンコ著)です。特に赤身の牛肉にはトリプトファンが豊富に含まれています。
また、食肉の消費量を世界で比較すると日本の食肉消費量は圧倒的に低く、国民一人当たりの消費量はさらに低くなります。日本人のたんぱく質摂取量は1995年をピークに年々減り続け、今や1950年代と同じ量にまで下がっています。私たち日本人にいま必要とされる食材は牛肉なのです。そのなかでも良質な赤身の牛肉を推進しています。
疑問だらけの料理教室でした。スーパーで買った安価な牛肉をいかにおいしく料理するか。私だけではなく世間一般の料理教室ではごくごく普通のことです。しかし、藤田純子個人として購入している牛肉は生産者、流通する人、肉にする人、それらすべてに関わる人たちの顔が見えます。牛肉を通して背景が見えます。こころがみえます。
料理教室でも使いたい、でも価格が合わない、それ以前に仕入れられるのか・・さまざまな問題があり悶々としていたのですが、正しい食材を使いたい、野菜も牛肉も私自身が生徒のみなさんに語れないようなものは使いたくない。そんな想いが日増しに強くなり、何度も何度もお願いして念願だった牛肉を使わせていただけることになりました。そして2018年10月、「Ensoleille/アンソレイユ」から「Orange/オランジュ」と名前を変更して新しくスタートしました。畑や牧場からOra(ヤァ)と手を振る人たちの愛に満ち溢れた食材を藤田純子がみなさまにお伝えします。